BitCometはBitTorrentといわれるP2Pプロトコル互換のクライアントソフトウェアです。P2Pといっても欲しいファイルと持っているファイルを交換するようなソフトではなく、現在ダウンロードしている途中の人もすでにダウンロード済みの部分についてアップロードに協力するという仕組みのファイル配布ソフトです。
ホームページからダウンロードしたときに、「503 Service Temporarily Unavailable」「403 Forbidden」などと表示されてダウンロードが始まらなかったり、ダウンロードが始まってもいつまでもダウンロードが進まなくて、タイムアウト(時間切れ)で切断されてしまったりすることはないでしょうか?
また、ダウンロードのリンクをクリックしようとしたら、「クリックできるようになるまで30秒お待ちください」とか「あなたのIPアドレスからのダウンロードは頻繁すぎます。30分お待ちください」とか「おなじIPアドレスでダウンロードが進行中です。ダウンロード完了後に再度操作してください」とかのメッセージを見たことはないでしょうか?
これらの現象をダウンロードしようとする側の協力で回避できる可能性があるのが、BitTorrentという方法です。
メリットとしてはWinMXなどのように、相手がアップロードしてくれる順番になるまでキューに行列してひたすら待つという時間がない、いわゆる「待ち時間が0」ということでしょう。
基本的に、ダウンロードできる相手が存在する場合はすぐにダウンロードがはじまります。
おおざっぱな言い方ですが、他にもダウンロードしている人が大勢いる人気のあるファイルであればあるほどダウンロードしやすく、高速にダウンロードできる可能性が上がってきます。
また、体感的なものですが、ファイルが破損しにくく、ファイルの一部が正常にダウンロードできていないと思われる場合は、ハッシュのチェックをすると、正常でない部分だけ再度ダウンロードさせることができます。
ファイル名をキーワード検索してダウンロードをするタイプのファイル共有ソフトと違って、適切なサイトからTorrentファイルを入手すれば、中身の違う偽ファイルやウイルス入りのファイルなどをダウンロードさせられることが少ないです。
それから、どうでもいい人にはどうでもいいのでしょうが、Azureus の用に Java など追加でインストールしなければならないものがない(単体で動く)、ということです。
そして、一番重要な特徴として匿名性が考慮されていないということでしょう。P2P通信をするために、相手とIPアドレスを交換しあいますので、違法ファイルなどを取り扱っている場合、プロバイダに問い合わせれば調べがつきます。合法的な利用を推進するためにこれほど当然なスタンスはないでしょう。
デメリットとしては、たいていの場合専用のソフトが必要なこと。だんだん市民権を得てきて対応するダウンローダーなども増えてきましたが、専用のソフトをインストールして設定をする必要があります。
また、P2P通信をする以上、ルーターやファイヤーウォールの設定などとは無縁、とはいかないことでしょう。
レンタルサーバーなどからのHTTP/FTPダウンロードでもそこそこスピードが出てしまう日本ではあまりメリットを感じるシーンが少ないせいか普及していないこと。
BitTorrentというプロトコル自体にファイル検索の機能が組み込まれていないため、Torrentファイルを入手するのに、ソフトを起動して検索窓にキーワードを入れて検索、というわけには行かないこと。欲しいファイルのTorrentファイルがダウンロードできるページへたどり着くか、Torrentファイルを検索できるサイトなどで探す必要があります。怪しげなアップローダーにアップされているTorrentファイルだと何が入っているか分かったものではありません。
Torrentが古くなると、ダウンロードができる可能性がぐっと低くなること。BitTorrentのファイルは他の人も欲しがっているうちが旬で、時間が経つとだんだんシードされなくなっていきます。(それを軽減するために、ED2Kネットワークの利用や、Web Seed などの機能が用意されていますが)
ダウンロードしたピースがあれば、どんどんアップロードに貢献しようとするので、ADSLなど上下の速度が違う回線では割と設定がシビアなこと。アップロードの速度をある程度絞らないとダウンロードが進まないという悲劇にも見舞われかねないですが、こればかりは全自動と行きません。
BitTorrentは大量の通信をしますので、プロバイダーには目をつけられています。通信量で規制するプロバイダーや、そもそもBitTorrentでの通信を許可していないプロバイダーなどもあります。
同様の理由でネットカフェなどもBitTorrentの使用が規制されていることがあります。ネットカフェの場合はもう一つ、違法ファイルの発信元にならないため、という面もあると思われます。
などがあげられるでしょう。メリット・デメリットについてはBitTorrentクライアント全体でおおむね共通です。
BitTorrent互換クライアントの使い道は、大容量ファイル(数十MB~GBクラス)の多人数への配信が最も効果的です。
同人ソフトウェアなどで画像・音声データを多く含んでいて、多数の方にダウンロードされる場合は、安いサービスですと、ウェブサーバーの帯域制限にひっかかったり、ウェブサーバー自体の応答が悪くなってしまうことが回避できるでしょう。
映画やドラマのトレーラーなどの高画質版の配信、YouTubeの利用が普及してきていますが、高画質なファイルを再生しようとすると、限界があります。通常版はYouTube、高画質版はBitTorrentなどとすることで、効率よく配信できるでしょう。配信用の強力なサーバーなども必要ありません。
ホームビデオなどを撮影したものを編集して送信したい場合、メッセンジャーなどのファイル送信だと途中で切れたりした場合に続きから始められなかったり、帯域を使い切ってしまうのを回避できるでしょう。親戚数人などごく少数でも複数の人が受け取り手の場合、期間を決めて集中的に実行することで、効率よく配備ができます。
ゲームソフトなど(特にオンラインゲーム)のクライアントソフトウェアの配布時、最新のパッチがリリースされたときなどに、我先にダウンロードしようとするプレイヤーのアクセスが集中し、いつまでもダウンロードサーバーに接続できない現象を回避し、効率よくプレイヤーのもとにクライアントを届けることができるでしょう。
ポイントは、ダウンロードしている側がアップロードに参加できる以上、ある意味ファイルのコピーが行われている、ということです。そのため、コピーされても問題ないコンテンツである必要があります。また、オンラインアクティベーションなどの機能があるものであれば、コピーされても不正な利用はできないので安心です。
シーダーがいなくなってしまう件はそれこそ会社に1台、ほそぼそとシードをし続けるクライアントをおいておけばOKです。
以上のように、合法的な活躍場所が豊富にある仕組みであるBitTorrentを簡単に利用できるのがBitCometですので、くれぐれも違法なファイルの交換に使ったりしないでください。
下記にて日本語サイト独自の説明を試みています。トップページのメニューにも順次編入しています。
BitCometにはトラッカー機能は含まれていません。既存のトラッカーを利用するか、自分で何かトラッカーソフトウェアを利用して設置する必要があります。
ただトラッカーを用意するだけなら、BitCometTrackerというのがBitCometと完全互換らしいですし、設定らしい設定もいらないのでお手軽でしょう。
それとは別にTorrentファイルをホスティングするウェブサイトも含めて構築したいのであれば、ちょっと頑張って、BNBTを拡張したBNBT Easy Trackerなんかいいんじゃないでしょうか。BNBTは寡黙すぎてよくわからないので。日本語で説明しているサイトがないと難しいかな?ま、そのうち試してみましょう。
ウェブサイトでデータベースを使う技術があれば、BitCometTrackerの開発キットを用いてウェブサイトに組み込めるような気もします。
ごく少人数での配布であれば、わざわざ手間をかけてトラッカーを設置しなくても、0.59から実装された、DHTネットワーク機能で十分コトが足りるかもしれません。
BitCometがダウンロード中の *.bc! ファイルの状態のまま再生ができるというプレイヤー。
BitComet - BitTorrentクライアント
基本的な操作方法や設定などを簡潔にまとめてあります。